5月31日の夜8時ごろ、パレルモ地区周辺のマンションで、日本人の方たちと夕食していたら、「カンカンカンカンカンカン」という音が外から聞こえてきました。ベランダに出たら、フライパンや鍋の底を叩く人があちらこちらいました。その金属音は15~20分ぐらい続きました。
アルゼンチンの2001年12月を思い出しました。当時、噂されていた債務不履行が表面化し、預金引出制限、国際通貨基金の追加融資見送りによってペソ切り下げ不安が現実化されました。また、国中の町で貧困に苦しむ中産階級の人びとが鍋叩きを繰り広げ、デラルア政権が崩壊しました。
「これはCACEROLAZO(カセロラッソ)。CACEROLA(カセロラ)はスペイン語で鍋の意味で、民衆が台所から鍋を持ち出し、政府に訴える抗議です」と日本人女性郡に説明しました。
鍋の音に迎合してクラクションをならして通る車を見ながら、「この鍋たたきデモは、2001年のアルゼンチン経済危機に行われたデモのしかたです。今回はインフレや治安悪化の国状を訴えています。」と続けました。
「当時は、深夜11時ごろ、自発的に民衆がマンションのベランダに出て鍋を叩き、ブエノスやアルゼンチンの中心都市の交差点に集まりカセロラソが行われていました。政党グループではなく、中流階級のプロテストでした。今回は、Facebook やTwitterの呼びかけで行われています。」
翌日の6月1日そして7日にも、ブエノスの中流階級の多い、ベルグラーノ、カバジート、レコレッタ、パレルモ地区、そしてオリーボス地区にある大統領官邸の前や5月広場でも集まりました。現地の報道によると、各集会所には300人ぐらいの人が見かけられました。
6月7日夜のカセロラソ
政府は昨年10月から、時刻のドル保有を上げるため、アルゼンチン人によるドル購買の制限や輸入を規制しています。こんな対策が続くと、ベネズエラ国になる可能性があるというアナリストもいます。
「アルゼンチンで、経済危機は10年ごとに起こる」とみんな知っているアルゼンチン人。
経済破綻の2001年から11年経ちました。そろそろ何が起こってもおかしくないアルゼンチン。